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オンライン販路開拓の基本的な考え方 (1)

藤原哲史(ふじわら・さとし)

2022.06.16

オンラインを活用した販路開拓、いわゆるデジタルマーケティングに取り組もうと考えているBtoB企業(法人向けに製品・サービスを提供する企業)の経営者や営業・マーケティング担当者の方々に、基本となる考え方と取組内容について2回に分けてお伝えします。

オンライン販路開拓を進める上での課題

ここ数年、BtoB中小企業においてオンラインを活用した販路開拓に取り組んでいこうという機運が高まってきています。以前からオンライン活用に積極的に取り組んでいる企業はそうでない企業よりも収益力が高いという調査報告が、公的・民間の様々な機関から出されていました。さらに昨今のコロナ禍の影響により、展示会やセミナー、テレアポなどのオフラインの顧客接点が今までのようには使えなくなってきている現状も大いに影響しています。

 

こうした環境下において、各企業は経営者が自ら先頭に立ったり、担当者を任命したりとオンライン活用を強化しようとしています。しかし、いざ取り掛かろうとすると、「何から始めればいいのか分からない」という方も多いのではないでしょうか。実際、東京都中小企業振興公社を始め、公的機関の専門家として企業への助言を行っている私の元へも「何をやれば良いのか?」という相談や、例えば「Webサイトをリニューアルしたい」「SNSで情報発信したい」等、やりたいことは決まっているのですが、「どのように進めたら良いのか?」といった相談が寄せられることが多いです。

 

「何から手を付ければいいのだろうか?」「Webサイトをリニューアルすれば効果が出るのだろうか?」という悩みを持つのも当然のことかと思います。WebサイトやLP(ランディングページ:申し込みや問い合わせ等のアクションを誘導するために、製品・サービスの紹介を1ページでまとめたWebページのことで、Web広告と組み合わせて運用する)、ブログやSNS、SEO対策やWeb広告、メルマガ配信にMAツール(マーケティングオートメーション・ツール:顧客情報の管理や見込み顧客を育成するための手順を効率化するソフトウェア)等々、デジタルマーケティングにはいくつもの施策があります。では、これらの施策を活用してオンライン販路開拓で成功するとは、どのような状態になることでしょうか。

オンラインを活用した販路開拓の手順

BtoBの取引では、Web上で成約まで完結することは少なく、顧客側は、営業担当者と商談してから購買を決定することが一般的です。そのためオンライン販路開拓で成功するには、オンラインで獲得した見込み顧客を、商談しやすい状態にして営業担当者に渡すことが重要になります。よって、購買プロセスにおける検討期間が長いBtoB製品・サービスのデジタルマーケティングを推進するにあたり、①リードジェネレーション(自社の製品・サービスに興味を持つ見込み顧客の情報を獲得すること)だけでなく、②リードナーチャリング(獲得した見込み顧客の購買意欲を高め、将来的な商談化につなげていくこと)という2つの手順が肝心になります。ここでは、①リードジェネレーションを「集客面」、②リードナーチャリングを「商談獲得面」として解説します。

①集客面のポイント

これまで接点のなかった見込み顧客を自社のWebサイトに流入させるには、GoogleやYahoo!などの検索結果の画面で自社のWebサイトが上位表示されることが必要になります。そのための施策がSEO対策であり、リスティング広告(検索連動型広告)です。SEO対策が奏功して検索結果の1ページ目に表示されるようになったり、リスティング広告の出稿により自然検索の表示よりも上位に自社のWebサイトの情報が表示されたりするようになると、流入数が増えるようになります。しかし、目的は単に流入数を増やすことではなく、商談化につながる見込み顧客を流入させることである点に注意してください。またBtoB製品・サービスを検索している顧客は、情報収集をしている段階の場合もあれば、現在利用している製品・サービスに不満があり代替品を探しているという段階の場合もあります。そのため、Webサイトにはそれぞれの段階にある顧客の欲求を満たすコンテンツ(記事や動画等)を掲載することが必要になります。さらに自社製品・サービスの情報を提供するだけでなく、ダウンロード資料や問合せフォームを設置して顧客情報を収集できる仕掛けを組み込んでおくことが次のステップに進むために重要です。実際に私の支援先でも、Webサイトをリニューアルして導入事例を随時更新できる作りに改修した際に、これまで手付かずであったSEO対策の実施と顧客情報収集の仕掛けを組み込んだことにより、Webサイトへの流入増加、問合せの獲得、商談化という好循環が生まれている例があります。

 

ただし、そもそも検索されることが少ない製品・サービスもあります。その場合、自然検索や検索連動型広告からの流入があまり期待できないため、これまでのようなリアル開催の展示会やオンライン展示会等への出展、業界誌・紙や業界サイトへの広告出稿により、新規の見込み顧客との接点を継続的に構築する取組みも必要となってきます。また、東京都中小企業振興公社の「ビジネスチャンス・ナビ」や、中小企業基盤整備機構の「ジェグテック」等 、公的機関が運営する受発注マッチングサイトに自社の製品・サービス情報を登録することも、新規の見込み顧客との接点構築に有効です。

 

この項では、オンラインを活用した販路開拓の手順のうち「集客面」のポイントを紹介しました。「商談獲得面」については、次回のコラムでお伝えします。

  

 

【関連情報】東京都中小企業振興公社「ビジネスチャンス・ナビ」

https://www.sekai2020.tokyo/bcn/

官民の入札・調達情報を一元的に集約した受発注取引のマッチングサイト

次回につづく

コラムニストプロフィール

藤原哲史(ふじわら・さとし)

中小企業診断士、ITコーディネータ、上級ウェブ解析士。出版社、広告代理店・制作会社にて企画・編集・制作業務に携わった後、2019年に株式会社クレビスを設立。現在、企業のマーケティングコミュニケーション活動(Webマーケティング、ブランディング、広告宣伝、販売促進、広報/PR)の戦略立案・実行・改善の支援に従事している。

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