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<社長向け>~中小企業の顧客ターゲティングと効果的な顧客アプローチ法~

波多江 敏彦(はたえ・としひこ)

2021.01.28

アンゾフの戦略モデルに製品―市場マトリックスといものがあります。これは別名、成長マトリックスと呼ばれるもので、次にあげる4つの象限からなります。

①現在の製品・市場分野のままで売上高や市場占有率を増大させる。(市場浸透戦略)

②現在の製品分野を新しい市場分野に適合させることによって成長を図る。(市場開拓戦略)

③現在の市場分野に新製品を投入することによって成長を図る。(製品開発戦略)

④製品・市場分野ともに全く新しい分野に進出することによって成長を図る。(多角化戦略)

最後の④は事業リスクを伴いますが、先ずは顧客(市場)のターゲティングを上記の①市場浸透戦略②市場開拓戦略③製品開発戦略の検討で販路拡大の方向性が整理できます。

では、多くの中小企業者が新たに顧客を獲得するために考えるのは②の市場開拓戦略か、あるいは③の製品開拓戦略の何れかが多いようです。因みに中小企業白書によると、③の製品開発戦略を考える企業が若干多いとのことですが、重要なことは、自社の強みを生かして得意な方法で市場拡大することです。

多くの社長の皆様は、この新たな顧客は誰か?ということに相当頭を悩まされておられますが、社長インタビューを通じて、以下に挙げるような方法で、顧客が明確化するケースが多いようです。

顧客ターゲティングの“コツ”

最も検討されるケースの多い、前出の②の市場開拓戦略か③の製品開拓戦略について、自社の経営資源を踏まえた上で、自社の目指すスタンスを決めたら、その市場を評価する基準を考えてみることが重要になります。

顧客ターゲットを選択する指標として次に挙げる6つの指標が役に立ちます。

a)有効な市場規模かどうか、b)成長性が高いかどうか、c)顧客の優先順位は高いか、d)到達可能性はあるか。e)競合状況は適切か、f)反応の測定可能性はあるか、の6つの指標です。

これらの6つの指標で評価するポイントですが、個々の指標に注目し過ぎるよりも、6つの指標を総合的にみることが大切です。例えばa)の有効な市場規模であっても、b)の成長性が低いと短期的な利益を得られても、長期的な利益を望むことは出来ません。出来れば長期利益の期待できる市場に参入すべきでなないでしょうか。

また例えば、a)の有効な市場規模が小さくても、e)の競合が少ない市場である場合、ニッチ市場で高いシェアーを獲得できる機会にもなり得ます。

先ずは上記のa)~f)の6つの指標を自社の方針に沿って〇×△などの評価をして頂ければと思います。市場規模、成長性、競合状況については、各省庁や各業界団体、専門誌、民間調査団体のデータ、ホームページ、Webサイト等を参考にして頂ければと思います。

c)の顧客の優先順位は、ターゲットとする業界の特性、ユーザー数の分布状況、ユーザーが興味を示す分野等を確認することをお薦めします。前出の各種データに加えて、ネット情報や、必要あればネットアンケートや有力なユーザーへのインタビューにより、当社の製品・サービスにマッチしているかを確認しましょう。

d)の到達可能性は、他の指標がいかに優れていても、商品・サービスが顧客に届かなければ意味がありません。展示会・商談会で感触、販売ルートの適切性、ホームページ、SNS、動画やランディングページなどの反応などを確認して頂くことが有効です。

最後のf)の反応の測定可能性ですが、直接顧客に確認できなければ、ホームページやSNS、動画、ランディングページ等で、どれだけ、どのような顧客が訪れたのか、その顧客がどのような行動をとったのかを測る分析手法を活用します。

以上、ターゲットの方向性を決まりましたら、その市場を6つの指標で評価し、自社の強みを生かして、継続性のある一定の需要を獲得できるかを確認して頂ければと思います。

効果的なアプローチ法(B2B)

では、特に企業者がWeb活用などを駆使し、顧客獲得に工夫していることを以下に挙げていきます。コロナ禍でリアルな対面での商談が難しい中で、また人的資源に課題のある企業者にとって比較的簡単に、低コストで導入できて有効かと思われます。

  1. 先ずはホームページ上のWebアンケートや問合せ内容を工夫することです。4~5つ程の質問に絞り、顧客のアプローチ先、現在の状況、解決したい内容、自社商品・サービスの必要性、商談希望の有無などを分かり易い文章で、手間や時間を掛けないで回答できる工夫をすることで効果的に対象顧客を選別できるケースがあるようです。アンケート内容から優先順位を決めて、是非、メール等でクイックアプローチを心掛けてください。
  2. 次にZoom等のリモートを活用した商談を検討しては如何でしょうか。上記①のアンケートなどで商談希望はあるものの、地理的や時間的制約やコロナ禍で対面での商談が難しい場合には、是非、リモート商談を試して頂ければと思います。リモートは導入コストも安価で、使い方も難しく無く、また経費の一部はIT補助金の対象でもあります。
  3. 最後は、少し専門的知識やスキルが必要ですが、Webページにアクセスすると管理サーバに「足跡」が残ります。この記録された「足跡」から相手先に最適な広告を表示することが可能になります。訪問者が求めるコンテンツが提供出来れば、訪問数の増加や成約への期待もできます。外部の専門家の協力も得て、将来に向けて社内人材の育成を含めてご検討頂ければと思います。

今回は、「顧客ターゲティングのコツ」や「Web活用による効果的な顧客アプローチ法」についてお話しました。いわゆる「誰に」「何を」を戦略的に考えて、効果的な顧客アプローチに役立てて頂ければ幸いです。

コラムニストプロフィール

波多江 敏彦(はたえ・としひこ)

大手メーカーで営業企画、従業員教育、海外事業の立上げに携わり、退職後は国際経営学(MBA)や中小企業診断士の資格を活かし中小メーカー・小売・卸業の支援、執筆業、セミナー・講師業などに従事。
モットーは、複眼的・将来的な視点で企業の「役に立ち、成長に繋がる」支援をすること。

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